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進むべき道にそった需要


草野 裕樹

 お正月を迎えて、テレビをつけて討論番組や経済動向の番組に目を向けると昨年の政策評価や対経済対策の評価、そしてそれによって成し得たもの、成しえなかったものの批評ばかりで決していいお話は聞こえてこない。ちょっと聞いただけではいい話に聞こえるが、結局何らかの制約が付きまとい、「アメとムチ」でしかないことが分かる。経済状況においては今しばらく厳しい状況が続きそうだが、不動産市場はどうなのだろうか?
 年末まで流動的にしか動かなかった賃貸が年を越したことで具体的になり、進むべき道にそった需要がすでに見え隠れしてきている。1月はセンター試験が控えていることもあり、その受験の際に部屋を見たり、話を聞いたりという先々を見据えた来店が多くなる。センター試験が終われば今度は一般受験や新社会人としての新居探しなど多くの移動を伴い、3月には退去を含む移動が多くなる。この状況下で売買も非常に取引が多くなり、価格的にも夏場と比べて安定した数字になることが多い。
 では上記の状況下においてどのような物件が人気を得るのか、また、需要がどのように変化していくのかを考えてみたい。
 まず、この春先のメインの需要は学生などの新入学に伴う移動である。たとえば札幌駅北口に関しては北海道大学だけではなく、私立大学や各種専門学校などの需要も相まって非常に多くの物件が流動的かつ能動的に退去と制約を繰り返す。空室であった物件も成約が見込め、この時期に空いた物件であっても内装中から申し込みが入ることもある。時期的な勢いが強い。転勤なども起こるため法人契約での申し込みなども数が増える。長期的な契約が望め賃貸の安定を図ることが可能となってくる。この動向について言えるのは一過性のものであるため長期的な需要にはつながらず、貸し手側の常時安定した投資内容とは一線を画すことが見て取れる。
 では、この流れの中にあってどのような物件が人気を集めていくのか?物件は新しいに越したことはないが、場所が良くなればなるほど既存の物件が立ち並び、新築に近い物件は見つけにくくなる。新築に拘ると地下鉄などの公共機関が遠くなり、入居は決まってもその後の賃貸継続に大きな不安要素を残す要因になりかねない。場所は非常に重要なキーポイントであり、物件が多少古くてもその他の条件で充分カバーできる内容と成り得る。選ぶ側からしても場所は必ず選ぶポイントの上位を占めるので中古物件であったとしても設備の充実を図ることで新築物件に十分対抗することが可能となるのではないだろうか。
 物件を検索する際に何が重要なのか?貸す側のスタイルもあるが、全国的に物件が供給過剰な状態にあるなかで、現在の経済情勢や交通にかかってくる費用などを精査していくと、「物件の所在地における価値」と「物件そのものの持つ価値」が価格(賃料もしくは売価)と比較して見合うものが選ばれるのではないだろうか?今後の需要はかつてのような「あれば決まる」というスタイルは排除され、シビアな価値・価格の徹底した比較にさらされるのではないだろうか?