マンション投資の鉄人

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第九の鉄人

果報は資金をためて待て。

神奈川県厚木市在住 S.M.(不動産コンサルタント)

日本経済が非常に微妙な均衡を保っている事は、私があらためて言うまでも無く投資に興味を持たれている皆さんの事ですから良くご存知でしょう。第二海援隊の日本国破綻シリーズなどその最悪のケースについて簡潔にまとめてあるので理解し易いのではないかと思います。


戦略を考える時は、あらゆる可能性を考慮しなければいけません。自分だけで考えるのにはやはり限界がありますから、入り口であまり選別せずに色々な本を読む事です。読み始めてかすだと思ったら時間が無駄ですから捨てれば良いのです。

昔の話になりますが、ラビ・バトラーさんが日経平均が15000円になると言った時私もそうでしたが、まじめに取り合う人はいませんでした。一つの可能性として日本国破綻を読んでいない方は一読されると良いと思います。

おそらく皆さんは、日本が完全に破綻してトルコのように円が暴落~ハイパーインフレに至るほどの事は起きないと思われるでしょう、私もそう思います。しかし、構造改革が頓挫した現在、これだけの国債を抱え、逆に何も起こらず無事にソフトランディングできるというのも安易過ぎると思います。


どんなに日銀と政府が頑張ったところで、金利上昇・国債暴落・円安、その程度はわかりませんが、地殻変動はおそらく起こります。この混乱に乗じて資産の拡大をはかる事は、次に考えられる最も大きな飛躍のチャンスだと思われませんか。

私には、1998年の金融危機において不動産を格安に獲得したという成功体験があります。あの時は人生においてこんなチャンスは2度と来ないだろうとそれはがむしゃらに買いました。バーゲンハンターの私にとってこれほど充実した時間は後にも先にもこれだけです。

そして、宴の後冷静になって周りを見まわせばまだ火種が残っているではありませんか。どうして、柳の下にもう一匹大きなどじょうが居れば良いなあと思わないでおれましょうか。魚釣りだって同じポイントで意外とどんどん釣れるものです。

しかし、今度は多少環境が異なります。第1ラウンドで大きな獲物を腹いっぱい食べた人達も同じ事を考えているはずです。それはそれは競売の代金納付の時に驚く程の資料を持ってくる人がいたものです。こういう人達と競争しなければいけないのですから、新規参入者は前回ほどやり易くはないでしょう。とはいえ、やるしかないのですが。


5年くらい前になるでしょうか、私はバブルのバーストで大木が倒れて太陽の光が燦々と降り注ぐ今こそ若木が伸びるチャンスだと言いました。あれから5年、何も行動しなかった人には不幸な事ですが、嵐の後若木だった人達も大きく育ってしまいました。なにせ満身創痍で瀕死の重傷を負った私でさえここまでリカバリーしたのです。もう日に日に地面に日の光は届かなくなって来ています。おそらくこの機会が、若者が不動産投資で飛躍できる最後のチャンスになるでしょう。

私のクライアントに理想が高くて物件が決められないという方がおられますが、こうなっては前に進めません。とにかく、インターネットの普及で完全情報が実現されたいま、安くて良い掘出物を過大に期待しない事です。私は安くてそこそこの品質というのが狙い目だと思います。いくら良いものでも価格が高いと利回りが下がり資金の回収に時間がかかってスピードが落ちてしまいます。


話が少しそれましたが、とにかく後何年後かに来るだろうこのチャンスを逃してはいけません。資金を蓄えその時に備える事です。自宅にしても、車にしても少しの間我慢する事です。たかが2~300万円と笑ってはいけません、1998年には競売でこんな金額で横浜や世田谷に投資マンションが一戸買えたのです。供給が需要を大きく上回れば安い掘出物が余る確率も高くなるでしょう。

ところで、余談ですが、既に私は現在物を買いまくっています。特に楽天には非常にお世話になっています。実は少し早いのですが、デフレの終焉に対し準備しているのです。2億円以上不動産に入れ込んだ私です、今更転売益を得ようというのではありません。高くなってたくさん買えなくなると厭なので今の内に買っておこうというものです。

話は1994年まで遡ります。私は英国に赴任する前から洋食器が大好きでかわいいものですが、コレクションしていました。そして、英国ではクリスマス前にバーゲンが有ると聞いていましたので、リージェントストリート、ハロッズのウエッジウッドに行きました。そしたら有るは有るは、もう格安の掘出物がもう持てないなんてものではありません、腕がちぎれるほど買ってリージェントパークに停めた車まで毎週末運んだものです。最終的に大型のダンボールで20個くらいになったでしょうか。帰任の時に荷物の量を見に来た日通の人が、規定枠に達しない単身者の分に入れておきますよなんて苦笑されたのを覚えています。ところが、1995年から掘出物がうそのように出なくなったのです。その後英国の景気が急速に回復したのはご存知の通りです。そう、需要不足で価格が暴落している現在こそコレクターにとって格安で価値の有る物を仕込むチャンスなのです。後で買おうと思っていて高くなってしまっては後の祭りなのです。正直こんな悔しい事はありません。

手持ち資金を倍にするには10%で運用しても7年かかります、たとえば、楽天で半額で買っておけば一瞬にしてこの運用益が得られるのです。・・・なんて話は、バーゲンハンターの言い訳に聞こえるでしょうか。

 
ところで、今回は色々な人達と接する中で自分なりに感じている性格的に投資で成功し易いタイプについて書きたいと思います。最近友人の山田君とニーチェの話をしましたのでニーチェ的に説明してみたいと思います。彼は、私と投資の話を全くせず哲学の話をするというそれはもう変わった人です。

ギリシャ人は『光明と秩序』の神アポロと『夢幻と陶酔』の神ディオニュッソスをなぜ作らなければいけなかったのでしょうか。私はこの相反する二つの価値観がお互いを破壊しながら新たなる創造を行う所に人間社会の繁栄の鍵が有ると彼らが気付いたからだと思っています。おそらく一人の人間で考えた場合、行き詰まった時この切替えができない人はその限界を打破できないでしょう。私は億万長者の壁を乗り越える事ができるかどうかはここに有ると思うのです。

煩雑な状態の中で、アポロ的な効率化は当初大きな効果を産みます、しかし、容易にわかるようにそれは時間と共にサチュレートしてきます。こうなるともうアポロ的なパラダイムでは自縛に陥るだけで状態を打破できません。これを打破するのが酒神ディオニュッソスなのです。そして破壊と新たなる創造から活気が産まれて来るのです。そして、行き着く先は混沌です。そして今度は太陽神アポロによりまた混乱の中からまた秩序化がはかられるのです。

クライアントの方と話をしていてつくづく思うのは、高学歴の方に世間で言われているように本当にアポロ的な学校秀才の多い事です。こういう人達は話をしていてあるレベルまでは非常に論理的で聡明なのですが、その域を越えると自分で全てをゼロベースから解決しようというディオニュッソス的な柔軟性がありません。私は話をしながら、そういう人は投資では成功しないだろうなあと感じてしまいます。こういう人は会社組織の中で責務をきちっとこなす事に専念され不動産投資などに手を出さない方が良いのではないかと思います。結局、海千山千の連中が跋扈する剥き出しの資本主義社会では、いつか鴨にされてしまうのが関の山と思うからです。

幸いにこれらの両方の能力を持たれている方は、この頭の切換えを意識的に行う事ができるようになると戦略の転換をより柔軟に行う事ができます。何か戦略に閉塞感を感じられた時は意識して見られたら良いと思います。

ちなみにギリシャのディオニュッソス神殿の柱の上には何が飾られていると思われますか、パルテノオン神殿やソクラテスやプラトンがギリシャだと思われている方は苦笑されますよ。なお、現在でもスーベニア ショップでは子分のサチュロスは売っております。妻に反対され買わなかった事を現在も後悔しています。これもギリシャなのですが。


さて、今回は来たるべきチャンスと投資に向くと感じている性格について書きました。いつも言っておりますが、チャンスに向けて準備して置くのとしないのとでは結果的に大きな差が生じてしまいます、周回遅れの皆さん若さをばねに頑張ってください。


ソロスさんが言われるように、投資は上向くと強化プロセスが働きます。初期の強化プロセスの波に乗れなければ、遅れて高値で掴む事になります、機会を逸しないように注意してください。その時になっても誰も今がチャンスだとは言いません。濡れ手に粟が終った頃になってようやく話を始めるのです、そしてオーバーシュート、それが歴史の教訓です。


ギリシャ人はその力が頂点にあった時、醜いもの・おぞましいものを好んだのです。清濁合わせて飲めるような、たくさんの起業家が誕生する事を期待しています。

しかし、尊敬するソロスさんがギリシャ悲劇が好きだったというのは嬉しいですね。