マンション投資の鉄人

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第九の鉄人

不動産経営の将来:学生者向けは既に構造不況 part2

神奈川県厚木市在住 S.M.(不動産コンサルタント)

では、マンション投資は他にどういう事に気をつければ良いのでしょうか。まず首都圏周辺エリアでは学生が減少し経営が危ぶまれている大学や短大近辺は避けるべきです。高校卒業人口が減るといっても全ての大学や短大の学生が一律に減るわけではありません。国公立や有名私立の近辺はまず問題は無いでしょう。青山学院のように学校自身が移転してしまうといった情報も注意しないと買った後では後の祭りになってしまいます。青山学院は偶然ですが、私が「初心者はセカンドベストを狙え」で紹介した相模原に移転が決まったそうです。既に仕込まれられた方は将来家賃の上昇が期待できるかもしれません。

次はその経済圏としての将来性です。例えば首都圏では人々の都心回帰に伴い周辺の県で経済的な地盤沈下が起きております。こういう人口移動に伴う緩慢な衰退というのは非常に見えにくいので注意が必要です。

また、経済の将来性には企業の工場閉鎖・移転の影響もあります。日産自動車の村山工場の閉鎖は有名ですが、現在工場の閉鎖・移転の例など枚挙にいとまがありません。そのエリアがその企業だけの城下町である場合その影響は甚大です。

経済的に栄えていれば良いかというと逆の問題もあります。都心では逆にマンション周辺にスナック等が乱立し、夜酔っ払いが徘徊しまともな人の住居として適さなくなってしまうこともあります。私の知人の例ですが新宿で堅気の入居人が見つからずホステスに貸していたのですが、パトロンの社長が不景気で家賃を払わなくなり結局裁判所で強制退去の執行までしなければいけなくなってしまったという人もいます。私も競売物件で強制執行はやったことはありますが非常に面倒なものです。こうなってくると本当に不動産経営自身がいやになってきます。

次はこれまで何度も言っておりますがスタンダードです。若い世代が錆びた階段のアパートとタイル貼りのマンションのどちらを選ぶか明白です。よく管理された小奇麗なマンションはやはり入居者にとって魅力的なものです。マンションは管理費がかかるといって敬遠される方がおられますが、共用部の掃除は管理会社がやってくれるし、同じく共用部の修繕が区分所有者全体の負担になるというメリットもあります。

では同じマンションの中でどの階が良いかと言われれば、2階以上が良いと思います。1階はプライバシーの問題で女性に嫌われますし、男性といえども空き巣対策などのセキュリティ上は2階以上が良いのは明白だからです。近年のようにストーカーや窃盗団が世間を騒がせていると必然的にそういうニーズは高まってきます。先進国の例を見る限り今後日本の治安は悪くなることはあっても良くなるとは考えられません。ちなみに比較的治安の良い英国でさえ、日没後女性が一人で外出することはありません。私はこのあたりを先進国の治安の平均と考えるべきだと思います。

以上、お話してきましたように今後不動産経営は決して順風満帆ではありません。特にアパート経営はかなりの経営努力が必要になって来るでしょう、素人が土地があるからアパートでも建てようかなんて既に通用する時代ではありません。これからの不動産経営というのは良い物件、良い賃貸管理会社この2つが揃って初めて勝算が有るのです。

私の尊敬するドラッカー氏もネクスト ソサイアティ の到来で全ての競争はどんどん激しくなって来ると言われております。激しい競争に勝ち残った者のみ資産家となることができるし、また資産家の人はその地位を維持できるのでしょう。

「不動産経営にはリスクが伴う。しかし、やらないと資産形成はできない。」まさに「虎穴に入らずんば虎子を得ず。」なのです。人生を面白くするのも退屈にするのもあなた次第なのです。ちなみに、私は迷った時は「何事も知ってやらないのは知らないのと同じ、やらないで後悔するよりは、やって後悔しよう。」という言葉を思い起こすようにしています。