マンション投資の鉄人

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第九の鉄人

ベビーブーマーのナイトメアー(悪夢)。:四十にして立たねば後は無い。 part2

神奈川県厚木市在住 S.M.(不動産コンサルタント)

私の仕事は、将来予測と利益を最大化するためのシナリオの作成です、予測が外れると利益は最大化できません。しかし、本心今回ばかりはこのような事態が起きなければ良いがと思います。なぜならば、これまでの悲劇は倒産・夜逃げ・一家離散等それはそれで悲惨なものでしたが、戦後50年続いた旧い資本主義社会のルールでの負けという大義名分がありました。しかし、今度は違います、皆と同じ事をしていれば良かったはずなのに突然ルールが変更されてしまったのです。これを悪夢と言わずして何を悪夢と呼ぶのでしょうか。突然冷たいプールに投げ込まれ、さあ競争だ泳げ溺れるのは自己責任だと言うのです。私は職業柄日本人の中産階級の資産運用能力の低さを知っていますのでこれは本当に酷だと思います。日本にも「マネーワイズ」のようなインテリジェンスな中産階級向けの資産運用の雑誌でもあれば、まだ悲劇は最小化できたのではないかと思うのですが。

残念なことに、近年私の予想は大筋で当たっています、日本は確実に先進国が歩んだ道をトレースしています。それも先行した先進国より振れが大きく、早く進む傾向さえあります。どうせなら、米国のようにIT産業が景気の牽引役として登場して新規雇用を創出してくれると良いのですが、残念ながらとても現在の日本の状況では10年以内にそこまで全てが好転することは期待できそうにありません。

そして、実はこの問題が複雑なのはベビーブーマーだけに留まらないことなのです。現在、将来不安から既に個人消費は低迷しております、これからベビーブーマーという大きなボリュームを持つ世代が消費をより絞り込んできた時、経済全体にどういうネガティブな影響を与えるでしょうか。そして親の資金がショートした時、ベビーブーマージュニアはどういう行動を取るでしょうか。既にベビーブーマージュニアは渋いと言われておりますが、更に消費を絞ってくるはずです。こういう連鎖反応がドミノ式に起こった時政府に効果的な経済対策が打てるのでしょうか。私が政府だったら今回の年金のように居直るでしょう、10年後まだ打てる経済対策が残っているとは思えませんから。

ところで、私も多くの方々とお話をさせて頂いておりますが、真剣にアクションに移される方は10%に満ちません、残念ですが私はトヨタ自動車の奥田会長の「危機を危機と思わない事が危機だ。」という言葉が全てを物語っていると思います、ほとんどの方が結局なんとかなるだろうと危機を危機として認識されていません。だからといって私は無理強いはしていません、自分の道は自分で切り開くものと思うからです。逆に行動に移した方の中には、私が色々なノウハウをパブリッシュすることに反対する人が少なからずいます。しかし、私は不動産投資マーケットをよりポピュラーにし、より多くの勇敢な方々が幸せになる事の方が重要だと言っています。「蜘蛛の糸」の話のように自分だけ助かろうという狭い了見は私の望むところではありません。

私はこれまでも3-40代の方々を中心に助言してきました。今回もこの世代には50代が陥るであろう陥穽に陥らないよう準備を進めてほしいという思います。「50代では遅すぎる。」で紹介したように、50歳は退職まで後10年しかありません、自宅の買い替え、子供の学費でお金を使いきってしまったら太公望の「覆水盆に帰らず。」ではありませんが使ったお金は戻って来ません。これから貯めるといったところでたかはしれています。これはもはや、私に助言のできる問題ではありません。しかし、3-40代はまだ自宅を買い換えられている方も少ないと思います。子供の教育費や車についても自由度があるはずです。大きな買い物をされる時は、必ず将来のキャッシュフローをシミュレーションしてからアクションしてください、現在のキャッシュフローだけで判断しては危険です。50代の失敗は他人事ではありません。

これは多くの方にとって憂鬱な話です、でも危機こそ色々考えアドヴァンテージを形成するチャンスです。未来を正しく予測し危機を危機と認識し前もって手を打ちましょう、能力の有る人にとってはまさに腕の見せ所でしょう。現在が底値の不動産を仕込み、収益率を上げるには最後のチャンスです。とにかく、家族の将来は世帯の経営者であるあなたの経営手腕にかかっている事を自覚してください。毎日会社や役所に行っていれば良いというプロセスの時代は終わったのです。結果が悪ければ意味がない、能力の有る者だけが豊かな社会を満喫できるそういう結果第一主義の時代になってしまうのです。結果に繋がらないアクションは時間とお金の浪費です、よく吟味してから行動してください。