マンション投資の鉄人

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第九の鉄人

戦略は理想から入る。: 自分ができる事は何か?と考えたら既に負けている。

神奈川県厚木市在住 S.M.(不動産コンサルタント)

以前、嘘つきがもう嘘ではないと言っても信じてはいけないという話をしましたが、三菱自動車の問題は泥沼にはまってしまったようです。私は実際に一度嘘をついた人間は二度と信用しないのですが、皆さんはよく嘘つきの改心を安易に信じる事ができると感心します。嘘をつくかつかないかは正義の問題です、不正な事をする人間は行動規範に正義が無いのですから、『愚昧を敵とすれば、神々の戦いも空し。』ではありませんが、敵よりもまず味方にしない事です。


で、本題は戦略や問題解決は理想・あるべき姿・ありたい姿、各社色々な言い方をされていますが、ここから始めないといけないという話です。

何で読んだのか忘れましたが、5~6年くらい前、不良債権の問題が解決されない事を皮肉ってこういう話が有りました。非常に上手い表現なので紹介したいと思います。


『ある人が公園の街灯の下で何か探していたそうです、通りがかった人が何をしているのかと聞いたら、鍵を落としたので探していると答えたそうです。街灯の下ばかり探しているのでここで落としたのですかと聞いたら、どこで落としたかわかる訳がないだろうと答えたそうです。じゃあ、なぜ街灯の下ばかり探しているのですかと聞いたら、真っ暗な所を探しても見えないではないですかと答えたそうです。』


何を馬鹿な事を言っているんだと思われるでしょう。しかし、これはよほど強く意識していないとほとんどの人がはまる陥穽なのです。

なぜか、人間は理想を考える前にできる事は何かを考えてしまう癖が有るのです。三菱自動車の問題の話に戻しましょう。まず、何が語られたでしょう。

社会的影響が大きいので潰すわけにはいかない。ここから始まりました、この条件を前提にした段階で誤りは始まったのです。潰した方が良いと言っているのではありません。理想形を考えずに現実的に穏便にできる事に一歩踏み出したのです。問題解決としては初動を誤りました。


戦略は現在の自分の状況でどうするのが理想か徹底的に案出しをする事です。ブレインストーミングの段階ではできる、できないはあえて考えないのです。紙に色々書き出してみると発想が広がります。

公園の話であれば当然、『来た道を引き返してみる。』という案が浮かびます。この段階ではそれで良いのです。

そして次の段階で、その案をどうすれば実行できるか考えるのです。課題をブレークダウンすると懐中電灯をコンビニで買って来るとか、朝になって探そうとか、色々思い付くものです。


なぜ、ほとんどの方が億万長者になれないか。突き詰めれば皆さん街灯の下から外に出ることができないからです。現在の自分ができる事は何か。そう考えた時に戦いは既に負けています。理想状態を実現する為には何をしなければいけないか。ここから始めないと勝てないのです。


三菱自動車といえば、早期退職が実施された時に将来社長になるような優秀な人間が辞めてしまったという記事を読んだ記憶があります。早期退職の関連記事で変な事が書いてあるなあとずっと疑問に思っていたのですが、なぞが解けました。個人的にはフェニックスキャピタルの動向に興味がありますが、日産でさえ『まだまだ。』とゴーンさんが言われているのにどういう勝ちシナリオが有るのか不思議です。


今回はちょっと例がまだ生臭い話でしたが、『戦略は理想から入る。』これを忘れないでください。絶対にできる事は何か?から始めてはいけません。