マンション投資の鉄人

<<一覧へ戻る

第九の鉄人

世界経済は狂っている。:絶対的なベンチマークを見失ってはいけない。

神奈川県厚木市在住 S.M.(不動産コンサルタント)

日本でフェラーリの最量販車F430が納車2年待ちで、ポルシェの発表では1億円を越えるカレラGTの1111台目がアラブ首長国に納車されたそうです。

皆さんはこの事実から何を読み取るでしょうか。2~30代のIT起業家がフェラーリを買っている、そのような事はどうでもよいのです。

重要なのはこの2,000万円の車に世界中で需要が増加し生産が追いつかないという事実です。だいたいこのクラスのフェラーリは富豪は買いません、おそらく世界中に小銭成金が増加しているのです。米国の不動産バブルと原油高による産油国の収入増が主な原因でしょう。

しかし、非常に興味深いのは、一方でデルファイは破綻し、GMは1日27億円の損失を出し続けているという事実です。このような不健全な経済状態がどうやってソフトランディングできるのか私には想像できません。



日本でも冬のボーナス以降の個人消費の伸びには多くの小売業のトップが言及されています。卑近な例ですが、私が楽天で登録しておいたウオッチリストの割安の高級時計も冬休みの間にどんどん売れてしまいました。マスメディアがセレブセレブと煽るものだから、これ見よがしの消費がトレンドリーダーの次の層に広がって来たという感じでしょうか。



年賀状にも新居を買いましたというのが多いのには驚きます。突き詰めれば前述のバブルの需要に牽引された好況という事がわかっていないのです。多くのサラリーマンの現在の高収入は米国のバブルが終わった時が終りです。現在のキャッシュフローで収支を均衡させるのは非常に危険です、90年代バブル崩壊による収入減でどれだけの人がローンで破綻したか思い出さなければいけません。



皆が踊っているとあたかも踊っている事がベンチマークであるように錯覚します。しかし、ディスコの中が非日常であるのと同様にバブルというのは非日常なのです。パーティの後には必ず静かな日常生活が戻って来ます。この絶対的なベンチマークは決して見失ってはいけません、これを見失うとおそらく破綻します。



このお正月は遠縁にあたる実家付近で有数の富裕層だった土建屋さんが破綻し引越しして行きました。おそらく差し押さえられた広大な敷地は分割されて建売になるでしょう。事業をやられている方は絶対に自宅を担保にして運転資金を捻出してはいけません。環境の変化に追いつけずビジネスモデルが成立しなくなったなら早く商売をたたむ事です。無理な延命は結局先祖代々の家屋敷まで失う事になってしまいます。



さあ、収入が増えた今こそ大砲を買う種銭を貯めるのです。間違ってもメリハリ無くバターを浪費してはいけません。耳にタコでしょうが、いよいよ今年から戦後産まれが定年します。5年後には社会はかなり違ったものになるでしょう。



余談になりますが、以前ドイツで食事をしている時現地サプライヤーの人に聞いたのですが、戦後しばらくまで欧州ではバターは富裕層しか口にできなかったそうです。なんと一般人はパンにラードを付けて食べていたそうなのです。そう、バターというのはそういう贅沢品という意味なのです。まあ、現在その西洋社会がジャブジャブ浪費をしているわけですが、いっしょに踊るのはちょっと危ないですね。